【題名】
塩害を受けやすいバングラデシュ沿岸部に住む健康な妊婦の血圧上昇と飲料水中のナトリウムの関係
【概要】
東南アジア沿岸部では、地域に住む人達の飲料水源に高濃度のナトリウムが含まれている。サイクロンそのものやサイクロンによる海水の氾濫が引き起こす塩分の問題は気候変動の影響を受けており、さらには、川の上流や土地の利用方法(開発等?)によって悪化しているようである。食事に含まれるナトリウムは、世界的には高血圧に関連する疾患を引き起こす重要な因子である。しかし、飲料水中のナトリウムも、食事中のナトリウムのように、血圧や血圧に関わる病気に影響を与えるかどうかはまだ分かっていない。
この研究では、飲料水中のナトリウムが妊婦の血圧に与える影響(血圧上昇が母親と胎児の健康に影響を及ぼすか)を調査した。血圧、飲料水、個人情報、生活習慣、環境的交絡因子のデータは、バングラデシュ沿岸部在住の血圧が正常な701人の妊婦から得た。一般化線形混合モデル(GLMN)を用いて、拡張期血圧(SBP)または収縮期血圧(DBP)と水源の関係を検討した。交絡因子を調整すると、井戸水とため池(高濃度の塩分)の水を飲んでいる人は、雨水を飲んでいる人よりSBPとDBPが有意に高いことが分かった。塩分濃度の高い水を飲むことで高血圧や関連疾患のリスクに晒される妊婦が、将来的にはもっと増えると思われる。この環境保健的問題が関わる健康リスクや、考えられる対応策の実行可能性について、更なる調査をすることは喫緊の課題である。