論文がpublishされました(J Obes Weight Loss Ther 2017)

論文がJ Obes Weight Loss Ther誌からpublishされました。

Effects of Autogenic Training on Heart Rate Variability and Heart Rate Recovery in Japanese Obese/Overweight Male Workers.
Narisada A at al.  J Obes Weight Loss Ther, 2017

 

肥満者は自律神経異常(交感神経の亢進)を来たしており、心血管疾患や糖尿病リスク上昇と関連していることが知られています。
産業保健においては、肥満労働者の自律神経異常が、直接的にあるいは仕事のストレスの自律神経‐心血管系の過剰反応を通じて、心血管死や過労死などへと結びつくことが懸念されています(同じような作業負荷・ストレスでも、肥満者労働者のほうがよりリスクが高くなる)。
今回われわれは、肥満男性労働者に対し、リラクセーション手法である自律訓練法を3か月間行うランダム化比較試験(RCT)を行いました。
その結果、Heart Rate VariabilityおよびHeart Rate Recoveryで評価した自律神経機能がいずれも改善されました。
訓練の介入の間、被験者である肥満労働者の体重に変化はありませんでした。また、ストレスそのものも自律神経に影響をあたえますが、リラクセーションによる改善はストレスの変化を通じたものではありませんでした。
このことから、リラクセーションによって肥満による自律神経異常を改善したことが示唆されたと考えています。
肥満労働者の心血管死・過労死リスク上昇に対しては、労働環境の改善あるいは減量の優先度が高いことに変わりありません。しかしながら、自律訓練法は比較的簡単なため労働者が家庭でも実践することが可能なリラクセーション手法であり、本研究の結果からリラクセーション(自律訓練法)によるリスク低減も有力な選択肢に挙がると考えています。

 

論文の詳細(全文)はこちら

Narisada A, Hasegawa T, Nakahigashi M, Hirobe T, Ushida T, et al. (2017) Effects of Autogenic Training on Heart Rate Variability and Heart Rate Recovery in Japanese Obese/Overweight Male Workers. J Obes Weight Loss Ther 7:340. doi:10.4172/2165-7904.1000340